「南海トラフ巨大地震、30年以内に70%~80%の発生確率」
東日本大震災から13年、私たちは自然災害の脅威を忘れてはいけません。
2024年2月7日気象庁は「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」で、南海トラフ周辺の地殻活動の調査結果を評価しました。
現在のところ、南海トラフ沿いの大規模地震の発生の可能性が平常時(注)と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていません。
(注)南海トラフ沿いの大規模地震(M8からM9クラス)は、「平常時」においても今後30年以内に発生する確率が70から80%であり、昭和東南海地震・昭和南海地震の発生から約80年が経過していることから切迫性の高い状態です。(気象庁南海トラフ地震関連解説情報より一部抜粋)
和歌山県は、南海トラフ巨大地震をはじめ、台風や洪水など、自然災害リスクの高い地域です。近年、異常気象による被害も増加しており、防災意識を高め、適切な備えをすることが重要になっています。
今回の記事では、和歌山県危機管理局防災企画課への独自インタビューを元に、南海トラフ地震への備えについて詳しく解説します。
あなた自身の命、そして大切な家族を守るために、防災対策を強化したいですよね。
この記事を最後まで読んで、防災意識を高め、かけがえのない命を守りましょう。
和歌山県における地震のリスク
南海トラフ巨大地震は、30年以内に70%~80%の発生確率とされており、これらの地震は、和歌山県全域に甚大な被害をもたらす可能性があります。
【具体的な被害例】
これらの被害は、あなたやあなたの大切な家族にも影響を与える可能性があります。
今一度、防災対策を見直してみませんか?
和歌山県は、地震及び津波等による被害想定を計算し、結果について県HPで公表することで防災意識の向上に寄与しています。
次の章では、和歌山県が実施している災害対策について詳しく解説していきます。
和歌山県の避難対策
和歌山県は、地震や津波などの災害リスクに備え、様々な防災計画や指針を策定しています。
和歌山県の、主な取り組みについてご紹介します。
津波から『逃げ切る!』支援プログラム
⚠避難場所の確認
- 自治体のハザードマップで自宅や勤務先周辺の避難場所を確認しましょう。
- 複数の避難場所を把握しておくと、状況に応じて適切な避難行動をとることができます。
- 避難場所までの道順や交通手段を事前に確認しておきましょう。
⚠避難情報の確認方法
- 自治体の防災無線、テレビ、ラジオ、スマートフォンアプリ等で避難情報を取得できるようにしましょう。
- 家族間での連絡方法も事前に決めておきましょう。
⚠避難時の持ち物
- 非常持ち出し袋を用意しておきましょう。
- 食料、水、医薬品、懐中電灯、ラジオ等、最低3日分の生活に必要な物資を準備しましょう。
- 季節や天候に応じた服装も準備しましょう。
⚠ 避難行動の留意点
- 避難指示が出たら、速やかに避難しましょう。
- 避難する際は、慌てずに落ち着いて行動しましょう。
- 危険な場所には近づかないようにしましょう。
- 避難場所では、指示に従って行動しましょう。
⚠要配慮者への支援
- 避難に困難のある方は、事前に自治体に相談しましょう。
- 自治体は、避難場所までの移動支援や避難場所での支援を行います。
⚠日頃の備え
- 家具の転倒防止対策を行いましょう。
- 食料や水の備蓄をしておきましょう。
- 防災訓練に参加して、避難行動を確認しましょう。
避難対策まとめ
和歌山県は、様々な避難対策を推進しています。
詳細は、防災企画課ホームページの和歌山県地域防災計画をご確認ください。
和歌山県の救助対策
⚠総合防災訓練で連携を強化
南海トラフ巨大地震や南海トラフ地震の発生確率が高い和歌山県は、地震や津波などの災害リスクに常に備える必要があります。
和歌山県では、大規模地震などの大規模災害に備え、関係機関と連携した防災訓練を実施し て、迅速な初動対応と災害対応力強化を図っています。和歌山県総合防災訓練
命を守る連携と対策
⚠大規模災害に備える様々な防災に関する計画
大規模災害発生時に備える計画の数々
- 防災救助施設等整備計画
- 防災行政無線整備計画
- 公安関係災害予防計画
- 防災訓練計画
- 自主防災組織整備計画
- 災害時救急医療体制確保計画
- 避難行動要支援者対策計画
- ボランティア活動環境整備計画
- 消防計画
- 水防計画
- 罹災者救助保護計画 ・・・等々
これらの計画は、災害発生時の救助活動に必要な人員、物資、施設、通信手段などを具体的に定めており、迅速かつ効果的な救助活動を実現するための基盤となります。
救助対策まとめ
私たち住人も防災意識を高め、学び、日頃から備えておくことが重要です。
現代では地域住民との関係性が希薄になりがちですが、地域のお祭りや餅つき大会、こども会などは災害時の助け合いに役立ちます。
地域のお祭りには、相互扶助の仕組みが埋め込まれており、信頼関係が育まれます。祭りを通じて集まり、語り合うことで、困った時にお互いに助け合う気持ちが自然に芽生えます。また、地域で共有している鍋やコンロ、食器類などを定期的に使用することで、災害時に役立つ準備が整います。
*和歌山県の危機管理の基本的な考え方は以下の通りです。
人命救助→早期復旧
スピード
人・モノあらゆる資源を総動員
具体的な対策としては、応急・復旧、そして復興対策において、迅速な人命救助とスピード感を持った災害対応を行うとともに、全国に先駆けて復興計画の事前策定に着手しています。
詳しくは、和歌山県における防災・減災対策をご覧ください。
民間・地域との連携
南海トラフ地震などの大規模災害への備えは、自治体だけでは万全ではありません。和歌山県は、民間企業や地域住民との連携を強化し、迅速かつ効果的な災害対応を目指しています。
*民間企業との連携
和歌山県は、救援物資の調達や災害時の電力供給など、様々な分野で民間企業と協定を締結しています。
(例)
- 民間企業の力を借りた災害廃棄物としての流木の迅速処理
- 和歌山県医薬品卸組合:災害発生時に救援物資を保管
- 停電や通信障害の早期復旧に向けた関西電力・NTT西日本との協定締結
- 避難所等での電力供給のための自動車メーカー等との協定締結
- 建設業者:災害復旧作業
- .空き家、旅館ホテルなどを活用したバーチャル避難所及び仮設住宅
*災害時のライフライン確保
水道、ガス、電気、通信、放送といったライフライン事業者との連携も、災害対応において重要な役割を果たします。
平常時から情報共有や訓練を実施し、災害発生時には迅速な復旧作業を連携して行うことが重要です。
*市町村レベルでの取り組み
和歌山市、海南市など各市町村でも、災害時における物資供給に関する協定を企業と締結しています。
*地域住民との連携
地域住民の防災意識を高め、地域防災組織の活動を活性化することが、災害時の被害軽減につながります。
企業等との協定締結と災害発生時の支援体制強化を通じて、和歌山県は、災害に強い地域づくりを目指しています。地域住民も一人一人が防災意識を高め、災害時にできる限り助け合うことが大切です。
参考資料
私たちがやるべき備えとは
- 情報収集
いざ災害が起きた時にあわてずに避難するためにも、お住まいの自治体のホームページや国土交通省ハザードマップポータルサイトなどから防災マップやハザードマップを入手し、避難場所、避難経路を事前に確認しておくことが大切です。
和歌山県では、「和歌山県防災ナビ」アプリの活用がおすすめです。
災害発生時には、情報収集が困難になります。事前に防災アプリやインターネットで情報を収集しておくことが重要です。停電に備えて、モバイルバッテリーなどの電源確保も忘れずに。
「和歌山県防災ナビ」の主な機能
避難場所検索
・ハザードマップを確認できる
・安全に避難するために、避難場所までの最短ルートを地図上に表示
防災情報プッシュ通知
・気象警報や避難情報などの防災情報を、プッシュ通知で受け取ることができる
家族の居場所確認
・家族等でグループ登録すれば、避難した家族の居場所を地図上で確認できる
・避難カードを作成・共有することで、スムーズな避難行動に役立つ
アプリダウンロード
和歌山県防災ナビアプリ
⚠家族間の連絡方法や避難場所を事前に話し合い、決めておく。
⚠地震や津波などの緊急情報を迅速に受け取れるよう、ラジオや携帯電話などの情報収集手段を準備する。
- 災害用品の備蓄
食料、飲料水、医薬品、救急用品、電池、携帯トイレなど、最低3日分の災害用品を備蓄
※ 飲料水とは別に、トイレを流したりするための生活用水も必要です。日頃から、水道水を入れたポリタンクを用意する、お風呂の水をいつも張っておく、などがおススメです。
・飲料水 3日分(1人1日3リットルが目安)
・非常食 3日分の食料として、ご飯(アルファ米など)、ビスケット、板チョコ、乾パンなど
・日用品 トイレットペーパー、ティッシュペーパー・マッチ、ろうそく・カセットコンロ など
※ 大規模災害発生時には、「1週間分」の備蓄が望ましいとされています。
※防災リュックを用意し、必要な物資をまとめておく。防災のために特別なものを用意するのではなく、できるだけ、普段の生活の中で利用されている食品等を備えるように。水や食料は、定期的にローテーションし、賞味期限切れを防ぐ。
- 家具の転倒防止
地震発生時の家具の転倒は、けがや出入り口の封鎖など、二次災害のリスクを高めます。近年発生した大地震でも、負傷者数の3~5割が家具の転倒・落下によるものというデータもあります。
大地震が発生したときには「家具は必ず倒れるもの」と考えて、転倒防止対策を講じておく必要があります。
地震発生時の家具の転倒によるリスク
・家具の下敷きになり、圧死や窒息死する
・倒れた家具で打撲や骨折などの怪我をする
・ガラスや食器などが飛び散り、怪我をする
・家具にぶつかって転倒し、怪我をする
・家具が倒れて出入り口をふさぎ、避難が困難になる
・避難経路が家具でふさがれ、安全な場所に移動できない
・避難に時間がかかり、二次災害に巻き込まれるリスクが高まる
家具の転倒防止対策
①できるだけ部屋にものを置かない(特に寝室)
②倒れて出入り口をふさいだりしないよう、家具の向きや配置を工夫する
③重い物は、家具の下段に収納する
④家具を購入する場合は背の低いものも選ぶ
⑤家具にあわせた方法で固定する
転倒防止粘着マット・家具転倒防止伸縮棒・家具転倒防止用固定金具
転倒防止粘着マット: 家具底部に貼り付けるだけで、滑り止め効果により転倒を抑制します。
家具転倒防止伸縮棒: 天井と家具の間突っ張ることで、家具の転倒を防ぎます。
家具転倒防止用固定金具: 家具と壁を直接固定する、最も確実な転倒防止方法です。
和歌山県では県民向けに家具固定に関する講座を実施しており、各市町村でも家具固定に関する補助制度を設けている所があります。
詳しくは「家具等の転倒防止対策」をご覧ください。
- 住宅の倒壊から命を守る安全対策
地震による家屋の倒壊は、人命や財産に甚大な被害をもたらします。大切な命と暮らしを守るために、日頃から住宅の耐震性確認と安全対策を講じることが重要です。
定期的な点検と補修
建物は年月の経過とともに老朽化や劣化が進み、耐震性能が低下する可能性があります。そのため、定期的に建物の全体と部分的な箇所を点検し、必要に応じて補修や補強を行いましょう。
専門家による耐震診断
建物の耐震性能を正確に評価するためには、専門家による耐震診断を受けることがおすすめです。耐震診断では、建物の構造や建材などを調査し、地震に対する耐震性を評価します。
耐震補強工事
耐震診断の結果、耐震性能が不十分であると判断された場合は、耐震補強工事が必要です。耐震補強工事では、柱や梁などの構造部材を増やしたり、金物やボルトなどで固定したりして、建物の強度を向上させます。
耐震ベッド・耐震シェルター
耐震ベッドは、ベッドの置かれた空間のみを補強し、地震により住宅が倒壊しても安全な空間を確保するものです。耐震シェルターは、居住室の内部を鉄骨や木材で補強し、地震により住宅が倒壊しても安全な空間を確保するものです。
非常用品を備えておけば、停電や断水などの状況にも対応できます。耐震ベッドや耐震シェルターは、建物の倒壊から命を守る一つの方法です。
和歌山県では木造住宅の耐震診断・専門家への相談・耐震補強の補助制度があります。
また、震災時に最低限生命を守るための耐震ベッド・耐震シェルターの設置にも補助制度があります。
*補助には要件を満たす必要がありますので詳しくは「あなたの住まいは大丈夫?」をご覧ください。
南海トラフ地震に備える!まとめ
紀伊半島に位置し、自然豊かな和歌山県ですが、南海トラフ地震などの大規模災害が発生した際、被災範囲は広範囲に及ぶ可能性があります。近隣府県も被災し、救助が困難になることが予想されます。被害が広範囲に及ぶとすぐに救助が来ない、救援物資が届かない等、命の危険や被災生活が長引く可能性があります。そこで自力で生き抜く力と住民が助け合う力が重要です。公助は防災対策に役立て、いざという時は自助と公助が機能するように日頃からの心掛けが大切です。
自助
防災知識・情報の入手
食料等の備蓄
防災訓練等への参加
住宅の安全対策
揺れが収まったら必ず避難
共助
地域住民との交流
安否確認・情報共有
初期救命・応急手当
救助要請・避難誘導
被災者支援・復旧支援
公助
法律・計画の策定
防災・減災対策の助成
防災・避難等情報の提供
救命・緊急搬送
避難施設の整備
災害用物資の備蓄
インフラの復旧 等々
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